UFO通信 |議論を偽論で終わらせないために(2) by Ufo

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 さて最初にも書いたように、議論は最良の解決策を見出すための努力であるから、その場合に資料や材料になる知識なり情報なりは、できる限り多い方が良い。ある決定的な知識・情報がなかったばかりに、原因究明や結果予測を誤る、といった例はいくらもある。

 「知識よりも智恵」という論をよく見聞きするが、「知識などいくらあってもしかたがない」とか「智恵さえあれば」といった極論・偏見は、以前にも書いたとおり、真実を見誤るもとである。ただそうは言っても知識・情報を取捨撰択し、論理を十全に展開するのは智恵の働きであろうから、これも重要であり、両方がうまく噛(か)みあうことが必要である。

 で、こういうことのためにも、又最良の方策を見出すためにも、出来る限り広い範囲、出来る限り長い期間を見すえる視点・姿勢が必要になってくる。知識や智恵の幅の広さ・奥行きの深さみたいなものがないと、つい眼前の些細(ささい)なことにとらわれて対応を誤る、といったことが起こりがちである。知識に広さや深さが必要なように、論理の展開にもそれらが必要である。因縁果報のところで書いたように、結果も複数である、あるいは、複数個が予想され、その複数個の結果が原因となって更に多くの結果が予想されるわけであるから、それらすべてについて検討することが望ましい。しかし現実には不可能であることも考えられるから、その場合は可能性の少ないものから切捨てることになるが、せめて唯一つに絞り切ってしまわないことが大切であろう。

 余談めくが、イスラム社会の族長会議などでは、ある計画について最初から全員が一致して賛成である場合には、それを実施しない、という話を聞いたことがある。本当か作り話なのか知らないが、非常に興味のある話であると思った。

 実施しない理由は簡単で、反対意見が出ないということは、その計画の欠点が見えていないから、というものである。いささか極端な考え方だと思うが、わからないでもない。

 例えば砂漠を越えて隊商の派遣ということになれば、期間も長いし、生命・財産を失う危険もある。となれば、人選・時期・ルートなど考えるべき問題も多く、勢い慎重にならざるを得ない。族長会議ともなれば構成員はいずれもヴェテランであるはずだが、それでもこういう話があるのは、合議がいかに大切か、ということを表わしていると思う。「三人寄れば文殊の智恵」の実践法として、気に留めて置くべきであろう。

 ひるがえって、我が日本ではどうであろうか。逆に全会一致であることが目出たいことであり、理想とされている。そのために、いわゆる『待合政治』に代表される「根回し」が重視されている。もちろんこれに似た事は日本に限らず、どこにでもあるのだろうが、公開の場で議論をせずに済まそうというには、何か理由があるに違いない。実施に当って反対意見を持つ者にも協力させようということなのか、つまり余りに勝ち負けにこだわるために、勝ち負けのない形をとろうとするのだろうか……。これだけでないことを祈るが……。

 次回は感情的論議について書く予定です、よろしく。(つづく)

H4.4/25初出〉

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