UFO通信 |妖夢 by Ufo

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小坊主のつぶやき

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UFO通信

のほほん評判記

 俺は正しい。美女はいい。美女を集めて何が悪い。とかく野郎は女に弱い。相手が美女ともなればなおさらだ。これを使わぬ手はない。お前らだって良く使うだろ。夜の、大枚はたいて美女を侍(はべ)らせ、商談取引した覚えがあるだろ。

 俺は慈悲の為にしたんだ。美女に誘われて来た者も、正しく修行すれば解脱に到る。金儲けの為に美人を使ったのではないぞ。正しい解脱の道に導いてやったんだ。こういうのが崇高な理念に基いたやり方というもんだ。それを何だ、色仕掛けで勧誘しただと。お前らのすることとは動機が違う。彼女らだって喜んでしたことだ。その上彼女らには善い果報が待っている。地獄へ行くのはお前らの方さ。

 俺は正しい。俺が変質しただと。初めは大乗仏教のうちの密教だったのに、キリスト教のようになってしまったという奴がいるが、何も知らないな。仏陀は、いつでもどこでも変化身を現わすんだ。釈迦もそう、イエスもそう、今は俺だ。経典にも書いてあるだろ。

 ハルマゲドンは本当だ。最高の予言だ。仏典にも終末論がある。その終末が間もなくやって来るというのに、この至高の予言を信じないとは、罰当りめ、それだけで地獄行きが決ったようなものだ。

 俺は正しい。変化してなぜ悪い。この世の中、変化しないものがあるか。諸行無常(しょぎょうむじょう)という言葉を知らないのか。仏教もキリスト教も同じだ。何しろ俺が真理なんだからな。

 俺は正しい。俺の眼はなぜこうなんだ。親が悪いのか。いやそうじゃない。そうだ、神や仏が悪いのだ。なぜ俺だけこうもやることなすこと上手くいかないんだ。なぜ俺を衆議院にいかせなかったんだ、首相になれないではないか。あれは選管のたくらみだな。なぜ俺を認めないんだ。俺を認めない世間や国家など壊れてしまえばいい。

 ところで親はなぜ俺を捨てたんだろう。まあいい。俺が親を捨てればいい、俺が国家を捨てたように。そうだ、ついでに神や仏も捨ててやれ。

 そうだ、俺が神や仏になればいい。元々神や仏みたいなものなんだから。というわけで、俺を神仏と認め、崇める者だけ集めて俺の国家を創るんだ。創るためには、今あるのを破壊しなけばならない。見ろ、ちゃんと理屈が通ったぞ。あいつらを殺してやったのは、この意味でも正しかったのだ。現にこの俺を嘲笑(あざわら)っているお前らを殺してやれなかったのは残念だがな。

 理想社会、理想国家を創造するためには、邪魔なんだぞ、お前らは。そうさ、俺が殺せと命じたのだ、彼らは俺の言いなりだから、必ず殺すさ。奴らを殺したのが罪ではない、かえって功徳というものだ。奴らを殺さなかったとしたら、その方が悪業というものだ。ところでお前らはまだ生きている。これは俺の罪になるかも知れないな。いやきっとそうだ。だがそんなことがあってたまるか。

 突然、足が萎(な)えたかのように膝まずき、それでも彼は顔を天に向け声の限りに叫んだ。

「私は潔白だ!!」

 目が覚めると汗びっしょりだった。悪夢であった……のか。

〈H7.6/25初出〉

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