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 さて、以前に「自然科学と、政治や経済に縛られることの多い科学技術を混同するのは良くない」と書いたが、これまで自ら、マルクスの理想とした共産主義社会と、現実にある共産主義国とをごっちゃにして書いてきた。ここらで整理しておく必要があろう。

 現実にある社会主義国ないし共産主義国と称する国家が、かなりの期間にわたって成立し得た理由の一つに、秘密警察による民衆支配がある。マルクスの代表作「資本論」について具(つぶさ)に検討したことが無いので偉そうなことは言えないが、秘密警察による自国民支配が必要であるとか、必然であるとかいう考え方はなかったはずである。

 他にもマルクスの言う共産主義社会と現実の社会主義国家、或いは共産主義国家との重大な違いがあろうが、要するに「マルクス主義国家」ではなく、よく言われる「スターリニズム国家」であるというのがその実態であろう。となるとマルクシズム国家は、この地球上に未だ存在しないことになる。

 話がややこしくなって来た。理論と現実の違いだと言えるのかもしれないが、少なくともマルクシズムとスターリニズムを混同して、今度の東欧圏総崩れをマルクシズムの破綻(はたん)とか終焉(しゅうえん)とか言い立てるのは間違いである。

 実は、こうした短絡思考の方がよほど危険なのであって、かつて米ソの冷戦時代に両陣営でどんな惨酷(ざんこく)なことが行われたか、ちょっと調べればわかることだ。

 資本論の説くところでは、社会主義や共産主義社会への移行は資本主義の爛熟(らんじゅく)期を経て移行することになっている。その際、民衆の意識の変革が条件になっているはずで、マルクスはこの民衆の意識の変革について「必然である」と言っているのだろうか。これについては、資本主義社会の進展と共に民衆が「このままやったらアカン」と思い直すのか、それとも誰かが「民衆の意識を変えさせる必要が有る」とか、又は「民衆自身が意志的に意識の変革をしなければならない」と説いているのか拙僧は知らない。

 しかし少なくとも我祖日蓮大聖人は、両方の意味で「民衆の意識の変革がなされるべきだ」とお考えになっていたように思われる。御題目受持(おだいもくじゅじ)によって佛心(ぶっしん)を開発するというのは、正に意識の変革ではなかろうか。もしそうだとしたら、身口意三業(しんくいさんごう)の御題目受持によって、具体的に日々の生活においてどういう意識を持てば良いのか、どういう行動をとれば良いのかを、本宗教師のみならず信徒全体で真剣に考えねばならない。

 従ってその参考とする為にも、同じく意識の変革を説くマルクスを研究するのも、徒労に終るかもしれないが悪いことではないと思われる。本宗教師や信徒の方々の中に、こうした観点からの研究をなさった方がおられたら教えていただきたいものである。できればこのホームページなり、他の刊行物でもかまわない、発表してくださると非常にありがたいのだが……。もし又既に発表された成果があるなら、連絡いただければ幸甚である。

H2.3/27初出〉

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