のほほん評判記 |
純粋な日本語とは仮名のことです。その仮名も「あ」を「安」、「い」を「以」と、音に中国から輸入した漢字を宛てた万葉仮名を発明し、さらに草書体に崩した平仮名を音を表す文字として使っています。 それに対して片仮名は、主に僧侶が経典を読むために、振り仮名のように余白に偏(へん)や旁(つくり)の一部を書き込んだとされるだけあって、簡略化された記号のようでもあります。 西暦一世紀ごろに漢字が導入されたそうですが、長い年月を経て日本に定着し、現在では漢字・平仮名・片仮名が渾然(こんぜん)一体となって日本語を形成しています。漢字ばかりでは堅苦しいですし、人口に膾炙(かいしゃ)しないアバンギャルドなカタカナばかりでも、文章としては成立しても、人に何かを伝えるには適さないでしょう。 平仮名は女文字、漢字は男文字として、性別によって使う文字が隔てられていた平安朝時代から、現代の口語体の文章まで、本書は日本語の変遷を豊富な例を挙げて紹介し、様々な様式の文章の楽しさ、美しさを味わう手引きとなっています。 ところで最近、漢文を読む時、つまり読経ですね。学生の頃は真読で速く読めるほどエライと思っていましたが、最近は訓読みでゆっくり上げるようにもなりました。 |