のほほん評判記 |
軽い書痴なので、J堂とかK國屋に行くと、そのつもりがなくても帰りには数冊抱えている始末。増え続ける書籍に対して有効な対策はなく、成す術もなく増えるに任せているのは、すでに善良な読書人を逸脱しつつあるのかもしれません。 特におよそ売れそうにもなく、初版で終わりそうな本書のような局所的な書籍を、半ば判官贔屓(はんがんびいき)のような気分でつい購入してしまうのは、ほとんど宿痾(しゅくあ)なのかもしれません。 本書のテーマは呪いであり、祈りを具体化するために用いた図形やアイテムです。本宗の御札などに印す九字も含まれますが、除病と除厄と息災がその大半です。逆に言えば、健康で災難がなければ人生幸せということでしょうか? 神秘的な文物にマジカルなパワーがあるかどうかの考察は碩学(せきがく)の論考に委(ゆだ)ね、本書ではただ市井(しせい)の普通の人々のつつましい現世利益の諸相を見て、昔も現代も人の悩み事に大差のないことを知って、なんとなく安心しました。何しろ、心配事や悩み事は数ダースあって、四苦八苦している日々ですので。 日蓮聖人曰く「一切法華経にその身を任せて、金言(きんげん)の如く修行せば(中略)今生は息災延命にして勝妙の大果報を得」等云々……。 |