のほほん評判記 |
僧侶にとって漢字は切り離せないものです。お経はもとより、卒塔婆(そとうば)に記載する法号(戒名)も、ある意味、漢字の連なりにほかなりません。 そこで頭を悩ますのが、字体の問題です。読み易さを第一義とするのか、経典の文字を本義とすべきか。本宗で使用する一般的なお経本でさえも、見慣れた漢字よりも一画二画多かったり、妙なところに点があったりする有様です。 我々の世代では、見慣れた漢字は当用漢字で(最近では常用漢字というそうですが)、「朝夕のおつとめ」などのお経本では、この常用漢字が使われているようです。 簡単に難しい字を旧字体と言ったりしますが、少し詳しい漢和辞典を引くと、微妙な違いの異体字を散見することになります。※印がつけられていて気の毒な感じですが、常用漢字ではないというに過ぎません。 本書では、この他に略字や日本で開発された国字、JIS規格の第四水準からも外れた字など、およそ日常生活で使わない漢字を楽しく平易に解説しています。「竜」は「龍」の略字でないといった話や、パソコンで変換できない名前の持ち主の話など。 最後に私見を述べるなら、「仏」より「佛」と書く方が好みですね。 |