のほほん評判記 |ブッダは、なぜ子を捨てたか by Kaijo

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のほほん評判記

image 著者/山折哲雄
発行/集英社新書
価格/714円

 一時、書店の新刊本コーナーに平積みされていたので、すでに手にされた方がおられるかもしれません。タイトルが刺激的なので一瞬戸惑いますが、家庭を出て仏道に専修することが出家なので、家族を捨てるという表現も修辞の問題に過ぎません。

 前半はブッダの伝記についての論考で、文献がほとんどない紀元前四〜五百年前のエピソードについて、細かく検証する意義については少し疑問を感じますが、「四門出遊」から始まって「縁起」「諸行無常」「空」といった真髄に関わることは解りやすく解説されています。

 後半はブッダの時代から一千年後の日本で、奈良の六宗、平安の天台と真言、鎌倉の新仏教、そして明治以降の新宗教運動までの仏教の受容と変遷。モンスーン気候の砂漠で生まれた仏教が、日本の風土や文化に適合していく過程の論考は、日本文化研究センター所長の面目躍如というところか。日本風に変容した仏教の中から、ブッダの声を聞き取ろうと耳を澄ます著者の姿勢はすでに宗教者のようでもあります。

 前半のやや辛辣な仏伝に対するアプローチも、単なる伝説の説話ではなく、血肉を具えた存在に近づくための手段であったと、本書の終わりになって気づいて反省するばかり。

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