のほほん評判記 |
境内(けいだい)の片隅にお稲荷(いなり)さまをお祀(まつ)りしています。以前は打ち捨てられた観のあったものを、新しく祠(ほこら)を設けて祭祀(さいし)し直しました。 お稲荷さまと言えば赤い鳥居(とりい)。深く考えもせずに、鳥居について調べてみると、おおざっぱな分類でも六十種類にも上ることが判明しました。井桁(いげた)のような単純な構造物に、六十ものバリエーションがあるのも驚きですが、「結界(けっかい)を示すもの」という約束事はあるものの、その機能や目的が今一つ不明瞭な点も不可解です。 寺院の境内に鳥居と聞くと、お檀家の多くの方が奇異に思われるようですが、いつも神仏が習合(しゅうごう)していた歴史のお話をして納得していただきます。明神(みょうじん)あるいは権現(ごんげん)とよばれる神格の多くが、仏法の守護か菩薩の権(かり)の姿とされる「本地垂迹説(ほんちすいじゃくせつ)」によって、日本古来の神格は仏さまと同じように勧請(かんじょう)されるようになりました。本宗でいえば「法華経擁護(おうご)の諸天善神」として、多くの神祇(じんぎ)が祀られています。 という訳で、うちの境内にはお稲荷さまがいらっしゃるのですが、どんな形の鳥居にしたものか、未だに懸案事項です。何しろ六十種類ですから……。 余談ですが、僕の実家のお寺には狛犬(こまいぬ)もいます。 |