のほほん評判記 |『街道をゆく』シリーズ by Kaijo

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のほほん評判記

image 著者/司馬遼太郎
発行/朝日文芸文庫
価格/380〜600円

 お彼岸・お盆・法事・月回向……。一坊を守っていると、時々魔がさしたように、どこか遠くへ逃げたくなる時がある。もちろん失踪(しっそう)する訳にはいかないので、なんとか無聊(ぶりょう)をやり過ごすのだけれど、そんな時パラパラと本書を繰(く)ることになる。

 緻密な構成にして完全に中立な視点、豊富な文献に裏打ちされた情報量の多さが氏の著書の特徴だが、本書はその良さを残しつつ、気ままな旅行、寄り道、不測の事態がユーモラスに綴られていて、ページごしにその道中に同行することになる。

 テーマは昔日(せきじつ)の街道と周辺の史跡・文化・由緒・来歴、それにまつわる人物の物語が、古代から近代まで縦横に語られる。その博覧強記(はくらんきょうき)ぶりには、ただ唖然(あぜん)とするばかりで、古寺名刹(こじめいさつ)の片隅、路傍(ろぼう)の記念碑に秘められた歴史が語られる時には、スリリングささえ覚える。しかも練達(れんたつ)の文章には、粉飾(ふんしょく)や押し付けがましさが一切なく、平生(へいぜい)の語り口調のように、すっと頭に入ってくる。

 『街道をゆく』シリーズは全四十三巻。全国から世界各地、観光名所から外れたところばかりを案内していただけます。おおよそはタメになるけれど、実用性のない知識がぎっしり。まっ、もともと本なんて、そんなものですが……。

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