のほほん評判記 |月刊 頓智 by Chijo

想

小坊主のつぶやき

いつそば「観心の章」

いつそば「開目の章」

自在生活ノススメ

UFO通信

のほほん評判記

image 1995.10〜1996.7月号
全10号
発行
/筑馬書房
価格/各550円

 筑馬書房といえば「森鴎外(もりおうがい)全集」や「泉鏡花(いずみきょうか)集成」といった、お堅い本を多く出版しているお堅いイメージの老舗(しにせ)出版社。その知性的でマイペースな編集方針のせいなのか、いまだかつてベストセラーやミリオンセラー(百万部を売り上げる本)などと称せられる本は、ついぞここからは出されたタメシがない。そんな筑馬が平成7年9月、「全方向好奇心雑誌」と名打って新しい月刊誌を創刊した。その名も「頓智(とんち)」。

 「一休さん」でもおなじみのどこかユーモラスなこの言葉、実は以外と奥が深い。すなわち頓智とは、単なる知識やひらめきの事ではなく「場面や状況に応じて出てくる知恵」の事をさす。相手の知識や心理を見極め、その時々の状況に相応(そうおう)したたとえ話や方便(ほうべん)を、巧みに用いて人々を導いていかれたお釈迦(しゃか)などは、まさしく優れた頓智の持ち主だったと言えよう。

 さて、そんな表題のついた本書。その厚みはわずか1センチ足らず、大きさも新書よりやや大きめ程度で携帯便利。内容は意外に柔らかく、インタビューや対談も豊富で読みやすい。今話題のマルチメディアの紹介から多少バカバカしいエッセイめいたものまで、その誌面作りは浅いながらも多岐(たき)に渡る。出版界の良心・筑馬書房の、精一杯の冒険心が伝わってくるようだ。しかし本に関してはさすがに一家言(いっかげん)有るのか、掲載されている書評は十冊を超え、自社他社の出版を問わず本の広告も多い。

 華やかさや奇抜さを売りにした情報が社会を先導する傾向において、本書は表題に恥じぬ知恵と信念を持って、時代を啓蒙(けいもう)し得る雑誌の一つに成長してほしい。なぁーんて、雑誌にそんな大ゲサなこと求めてもしょうがないか。色んな情報をつまみ食いするつもりで、気楽に読んでみて下さい。

※現在休刊につき、図書館または古本屋にてお探し下さい。

what's newdiscourseseasontalesideadownloadlinkmyoabout "myo"site mapNOEC

HOME

Since 1999, Nichiren-shu Osaka Enlightenment Center. All teachings are opening up.