自在生活ノススメ |漁師の山登り by Gentai

想

小坊主のつぶやき

いつそば「観心の章」

いつそば「開目の章」

自在生活ノススメ

UFO通信

のほほん評判記

 みなさん。漁師さんが山に木を植えていることをご存知ですか?宮城県の気仙沼でカキの養殖業を営む漁師さんは、室根山に登り木の苗を植えています。海の上で仕事をする漁師さんが、なぜ山で木を植えるのでしょうか?

 気仙沼(けせんぬま)では、昭和四十年頃からカキの成長が遅くなり、本来白いはずのカキの身が徐々に赤くなっていきました。その原因は、山を切り開いてダムを建設したり、住宅地を拡充していったため、生活排水が川や海に流れ込み、水質が悪くなってしまったからです。そして、海の異変に気づいた漁師さん達は、どうすれば元の海を取り戻せるかを考え、出した結論が「豊かな山を再生させる」ということでした。

 山の木が少なくなると、栄養を含んだ水が海に流れ込まなくなります。それはなぜか。子供の頃、理科の授業で習ったことを思い出してみてください。木の葉が枯れ落ちて堆積すると、それはやがて腐って土になります。そうしてできた土はまるでスポンジのように柔らかく、とても滋養に富んでおり、雨が降ると雨水はその土にゆっくりとしみ込んでいきます。その間に水は養分をたっぷりと含み、再び地表に出るときは、海にすむ様々な生物を充分に育てる力を蓄えているのです。

 そこで漁師さんたちは、カキの栄養分となる植物プランクトンを増やすため、山にブナやクヌギなどの広葉樹を植林し始めました。また、地域の住民や子供たちにも強く訴えかけ、熱心に植樹活動をするかたわら、海の汚染そのものを防ぐため、シャンプーや洗剤・農薬の量を減らすことなどにも積極的に取り組んでいきました。

 初めは漁師さん達だけで行なっていた植林活動も、次第に地域住民が協力してくれるようになり、また大勢の子供たちが体験学習として参加するようにもなりました。さらには、この活動に賛同した人が次々と集まり、今では全国に広がって、日本各地で植林が行われるほどになったのです。

 私たち日蓮聖人門下には「わたうども二陣三陣つづきて、迦葉(かしょう)・阿難(あなん)にも勝ぐれ、天台・伝教にもこへよかし」(種種御振舞御書)と示された大聖人のお言葉を体し、立正安国・仏国土顕現を目指して、一人でも多くの人に成仏の種であるお題目を下種していく使命があります。

 気仙沼の漁師さんによる、海を蘇らせようという熱意が大勢の人々に伝わったように、私たちも地涌の菩薩に連なる者として、日蓮聖人のお志しを受け継ぐという確固たる自覚を、しっかりと持つ必要があるでしょう。


「自在生活ノススメ」バックナンバー

what's newdiscourseseasontalesideadownloadlinkmyoabout "myo"site mapNOEC

HOME

Since 1999, Nichiren-shu Osaka Enlightenment Center. All teachings are opening up.