自在生活ノススメ |自在な運転 by Eishu

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 あれから四年以上が過ぎました。多くの方が犠牲になったJR福知山線脱線事故は、本当に悲惨なものでした。あのような悲劇は、もう二度と起こしてはなりません。

 先日、私の友人で某バス会社の運転手F氏が、こんなことを言っていました。

「運転している時は、人間の一番いやな部分が現れやすい」

 人の命を預かって毎日ハンドルを握っているF氏の、重みのある言葉です。

 実際、運転手の心理状態は少なからず運転に影響を及ぼし、交通事故の原因につながると考えられています。「いそぎ」や「あせり」の心理、また「おごり」や「いかり」の心理によって、考えられない運転ミスや判断ミスが生じて事故を誘発する可能性もあります。時としてそれは大惨事へとつながり、尊い命が奪われる場合もあるのです。

 ハンドルを握ると性格が変ってしまう、という人がいます。運転している時は、周りから顔や素性が分かりにくいことから自制心が失われやすく、自己中心的な行動が増えるのだそうです。

 実は、人間の心の中には、地獄の有様のような怒りに満ちた心から、仏さまのような慈悲に満ちたすばらしい心まで、様々な種類の情報が収まっています。それらは外からの何らかの影響により瞬時に起動し、思考や言動を起こすのだと、お釈迦さまはお説きになっています。

 罵声や不必要なクラクションを鳴らす怒りの心、ただ目的地に先へ先へと急ぐ貪りの心、車内からタバコやゴミを投げ捨てる愚かな心、自分の運転技術にうぬぼれるおごりの心。これらはすべて、F氏が言った「人間のいやな部分」に相当します。

 反対に、人間の心の中に存在するすばらしい部分。つまり他に対する思いやりや慈しみの心を持ち、常に生命の尊さを念頭に置いて行動することによって、人に優しい運転も出来るはずです。

 一人一人がそのような運転を心がけたならば、事故そのものが減少へ向かうだけでなく、心にゆとりが出て、人間が生み出した非常に便利な乗り物が身近にあることに改めて気づき、感謝の気持ちも生まれるに違いありません。これこそが「自在な運転」と言えるのではないでしょうか。

 運転だけでなく、普段の生活でも皆が「人間のすばらしい部分」を前面に出して生きることができたなら、争いごとのない安穏な社会が実現することでしょう。

 そしてお釈迦さまこそが、私たちの心の運転技能や状態をよく理解された最高の教官(指導者)であり、いつもそばで私たちの「最高の部分」を引き出そうと導いて下さっていることを忘れてはなりません。


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