自在生活ノススメ |群衆の中の自分 by Shoudo

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 四年前の六月、日本には大きな熱気が渦巻いていました。サッカーワールドカップ。国中はまさに、それ一色だったといっても過言ではないでしょう。にわかサッカーファンも含めた多くのサポーターが街中にあふれ返り、世界の祭典を盛り上げ応援していました。

 そして盛り上がりが最高潮に達したのが、六月十四日、大阪・長居スタジアムでの「対チュニジア戦」でした。その試合で日本は見事二対〇でチュニジアを下し、初の決勝トーナメント進出を成し遂げたのです!

 日本中は狂喜乱舞し、特にその興奮が大きかったのは、試合の行われた地元・大阪でした。誰ともなく道頓堀川に飛び込み始め、ついにその総数は九百名を超えるに至ったそうです。

 ここで少し考えてみて下さい。確かに大勢の人達が川に飛び込む姿を目の当たりにすれば、ひょっとして自分も一緒に飛び込んでしまうかもしれません。しかし、自分のまわりにそんな人が一人もいなかったとしたらどうでしょう?まわりの目を無視してまで、川に飛び込んだりできるでしょうか?とてもじゃないけど、私にはできません。

 冷静に考えると一人ではできないようなことでも、大勢の人達と一緒になると、後先を考えずその場の勢いでやってしまう。このような心理状態を「群集心理(集団心理)」といい、特に人々が興奮状態の場合に起こります。

 そして群集心理は、時として大惨事を引き起こしかねません。四年前のワールドカップでは、幸い日本の場合それ以上の騒動にはなりませんでしたが、ゲームに負けた他の国では、暴動に巻き込まれた人が命を落とすという、スポーツの祭典にあるまじき悲惨な出来事も起こりました。

 この群集心理は、ごく身近なものとして日常的にも起こっています。例えば、赤信号にもかかわらず横断歩道を渡ろうする人がいると、つい自分も渡ってしまうというような……。日本人には「右にならえ」的な国民性があると言われており、特にそうした心理が働きやすいのかもしれませんね。

 たいていの場合、人は何らかの集団に属することを余儀無くされます。そこでいつも雷同(らいどう)することなく自分を保つことは、簡単なようで難しいことではないでしょうか。

 さて、今年もやってきたサッカーワールドカップ。しかし、川へ飛び込む前にもう一度考えて見ましょう。いま自分が飲み込まれている群衆の行動が、果たして本当に正しいものなのかどうかを……。

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