自在生活ノススメ |
この頃は、少し静かになりましたが、超能力者といわれる人たちが、マスコミをにぎわせたことがありました。その超能力の中身はいろいろでしたが、つまるところは「自然科学では解決できない」または「説明できないことがありますよ」と強調したかったようです。スプーン曲げが一番目立っていたようですが、他にも透視・念写・予言などがありました。 初めてスプーン曲げを見たときは、みな一様に驚いたものです。親指と人差し指でスプーンの首の所をつまんで擦(こす)るようにしていると、やがてスプーンは曲がり、次いでちぎれてしまう―というものでした。 また透視というのは、封筒の中に書いてある図形や文字を言い当てるというもの、念写は写真感光紙を額の所に当てて数十秒で感光させるというものです。もっと他にもできることはあるのでしょうが、テレビで見たのはそれぐらいでした。 近頃では、念ずるだけで他人の病気を治してしまう子供もいると聞きました。こうしたことで、「人類は確実に『進化』している」と言う人もいるようです。本当に超能力なのかどうか、また超能力がつくことを「進化」と言ってよいのかどうか、議論はいろいろでしょう。 でも、自然科学でできると思われていたことが少しもできない。いやそれ以上に逆向きに進んでいるような印象が目立ってきたころに、超能力や霊能力といったものが社会の表面に現れてきたことには、よくよく注意すべきだと思います。 今にして思えば、と気づかれた方も多いでしょう。狂乱のバブル景気からその崩壊、そして現在の様な先の見えない不景気を予見していたかのようです。 世の中の動きは、変転極まり無いものです。けれども自然科学も経済学も、実際の経済がどのように変化するのかを予知することは出来ませんでした。 もちろんあのバブル景気の時、警鐘を鳴らす人はいくらでもいました。けれどもそれは単に、栄えれば衰えることを言っていたに過ぎません。株価がいくらになれば下降に向かうのか、それはいつなのか、結局は誰も言い当てることはできませんでした。当然です。そこには、人の心の動きが計算に入っていないのです。 一人の人間の心の働きだけでも、とても複雑な動き方をします。これを計算し、予見することなどまず不可能です。ましてや経済の場合は、世の中全体が相手なのです。絶対といってよいほど、できない相談なのです。 しかし先の超能力ブームは、この混沌(こんとん)とした状態を予見していたかのようです。世の中の動きをよくよく見ていると、このような例が結構たくさんあることに気がつきます。人々の心の動きが社会の動き方を決めていくのですから、当然といえば当然かもしれませんね。 |