あるところに、悪知恵を持って大勢のブタたちを束ねているブタ王がおり、そこは皆が常にまわりを蹴落とすことばかり考えている社会でした。
ある時、食料を食べつくしたブタたちは、食料を求め移動することにしました。しかしこの計画には「山の向こうに暮らしているトラ王と遭遇するのでは」という心配がともなっていたのです。
しかし、普段からいばってるブタ王は、内心は臆病者でしたが王の威信に傷が付くことを恐れ、何の対策もないまま出発してしまいました。すると案の定、トラ王と出会ってしまったのです。
まともに戦えば食い殺される。恐れて逃げれば、馬鹿にされ王座を追われてしまう……。困り果てたブタ王は、配下のブタ達の排泄物を体中にすり付けトラ王に戦いを挑みました。するとトラ王は、あまりの汚さと臭いに戦意を失い、その場を立ち去ったのです。
勝つためには何でもするというブタ王のズルさにあきれ果て、あえて無駄な戦いを避けたトラ王の王道を進む姿を、お釈迦さまは讃えられたというお話です。
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