お釈迦さまがインドの国中を托鉢(たくはつ)をして歩いておられた時のこと、遠くでドロ遊びをしていた二人の子供が、お釈迦さまのもとへかけよって来ました。そして一生懸命つくった形の良いドロのおだんごを差し出たのです。
しかしそれを見た大人たちは、あわてて子供たちを叱りました。
「こともあろうに、お釈迦さまにドロのだんごを差し上げるとは何ごとか!」
ところがお釈迦さまは、逆にその大人たちをさとされました。
「この子供たちは私に供養(くよう)したいと思ったが、何も持っていなかった。そこでその思いをドロのだんごに込めて差し出したのだ。だから子供たちのしたことは、とても尊いことなのだよ」
この二人の子供はますますお釈迦さまが好きになり、何とかしてお役に立ちたいと願い続けました。そして後のインドに生まれ変わり、お釈迦さまの教えを翻訳(ほんやく)して世界中に広めたのです。この方こそが、インドを仏教によって統一されたアショカ王でした。
|