二人の少年、サーリプッタとモッガラーナは、どちらも学問や諸芸にも通じていて大の仲良しでした。
ある日二人は、近くの村の祭礼(さいれい)へ見物に出かけることになりました。祭礼には何千何万という人々が、様々な地方から馬車や象に乗ったり、歩いたりして集まっていました。
やがて皆が歌や踊りに夢中になり、祭りは今や宴(えん)たけなわという時、喜びたわむれている人々を見てサーリプッタはこう思ったのです。
「ここにいる大勢の人々は、今は晴れやかな顔をして笑っているが、百年もたてば誰一人として生きている者はいないのではないだろうか」
またモッガラーナも、人々が大きな口を開けて笑っているのを見て思いました。
「いま大口を開けて笑っている人たちの上あごと下あごが、百年たってもまだ合わさっているだろうか」
もう二人は祭りを見ていられなくなって、静かな場所へ移り、出家して真実の道を求めようと誓い合ったのです。
これら両少年は後にブッダの弟子となり、十大弟子の中でも「智恵(ちえ)第一」の舎利弗尊者(しゃりほつそんじゃ)と「神通(じんづう)第一」の目連尊者(もくれんそんじゃ)といわれる有名な高弟に育ちました。
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