いつそば「我聞の章」 |第13話「過去からの証明」 by Shougyo
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仏さまのこばなし

いつそば「我聞の章」

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グリトラクータ童話

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 遥か遥か遠い昔、一人の菩薩さまがある誓いを立てられた。それは「もし自分が悟りを開いたなら、未来に法華経が説かれる場所へ、宝塔に乗って時間も空間を越えてかけつけ、その教えが真実であることを証明しよう」という誓いだった。この菩薩さまは、後に悟りを開いて多宝如来(たほうにょらい)という仏さまになられる。

 それから時は過ぎ、今から約三千年前の、お師匠さまや私・阿難(あなん)が肉体を持っていた時代。北インドの霊鷲山(りょうじゅせん)でお師匠さまが法華経をお説きになられると、お誓いの通り多宝如来さまがその場へお出ましになった。驚くべきことに、巨大な宝塔が地の底からわき上がり、その中から「今お釈迦さまの説く法華経の教えは、みな真実の教えである」と、大きな声で証明されたのだ。

 その時、大楽説(だいぎょうせつ)という名の菩薩さまが進み出て、お師匠さまに「この塔の扉を開いて多宝如来さまを供養させて下さい」と申し出られた。

 するとお師匠さまは、こうおっしゃった。

「方々で教えを説いている私の分身である仏をすべてをこの場所に集めなければ、宝塔の扉は開かれない約束になっている」

 そしてお釈迦さまは、ご自身の分身を不思議なお力でその場へお集めになった。驚くべきことに、集まられたそれらの仏さまお一人ずつに座を設けたところ、この宇宙空間の十億倍の広さでもなお足りないという有り様。しかしお師匠さまは、またも不思議な力を使われてさらに空間を広げられた。

 この途方もない現象は、一体何を意味するのか?つまりはこの法華経が、あらゆる時間と空間からも、束縛されることなく説き続けられている教えだということを現しているに他ならない。あらゆる物事の調和を説くこの法華経こそ、時空を越えた真実の教えなのだ。

 それにしても、私たちの疑問はつのった。お師匠さまが悟りを開かれてから、まだ四十年余りしか経っていないのに、すでにこれほど多く分身の仏さまが存在し、方々な世界で教えを説いておられたとは……。

 そう、遠い過去より宝塔に乗って現れた多宝如来さまは、お師匠さまが説かれた法華経の教えを「真実である」と証明されただけではなかった。お釈迦さまが悟りを開かれてからその時まで、実は四十年余りどころか途方もない時が経過しているということを、密かにお示し下さったのだ。

妙法蓮華経「見宝塔品第十一」より/つづく)

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