わたしはそんなに長い年月の間も、決してなまけたりはしませんでした。なんども死んだり生まれたりしたけれど、いつも国の王子様に生まれ変わったのです。
そして大人になり、王様になった時も、わたしの心の中からその願いが消えることありませんでした。ほんの少しの間だってそれをわすれはしなかったし、この願いをかなえるために、せいいっぱいがんばりました。もちろん、それは大変なことだったけれども、やめてしまおうなんて思ったことは、ただの一度だってなかったのです。
ここに集まっているみなさんには、もうおわかりでしょう。気の遠くなるような長い長い年月の間、なんど生まれ変わっても、わたしの心の中から消えることのなかった、たった一つの願い……。
それは、世界一りっぱな心になることだったのです」
いま、これを読んでいるみなさん。おシャカさまは、ほんとうにたくさんの、ほんとうにいろんな人たちに、この『世界一りっぱな心』になる方法を教えてくれました。それには八年もかけて(そう、みなさんが生まれてから小学校の二年生になるくらいまでの長い間)じっくり時間をかけてお話しなければなりませんでした。
今日のおシャカさまのお話は、そんなたくさんのお話の中の、ほんのひとかけらです。そしてこれは、むかしむかし遠い南の国で、ほんとうにあった物語なのです。
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