七十代も後半の女性がいる。今日は内科、明日は整形外科、明後日は耳鼻科、日によっては病院のかけもち。「元気なりゃこそ病院に行ける」を地で行く生き方だ。
驚くべきことにこの女性、月に何度か「こども見守り隊」の黄色い腕章をつけて公園に立つのである。「こんな年寄り役に立てへんし、不審者を追いかけることもでけへんけど」と言いながら。
専門家の話によると、大人の目のあるところでは、不審者や変質者は決して子供に手出しをしないそうだ。「こども見守り隊」の腕章をつけた大人が立っていれば、なおさらのことである。
ところで彼女は、物心がついた時から七十年余りにわたりお題目を唱え続けている。嫁ぎ先の宗旨は違ったが、お題目の宗旨へと改めた。そう書けば、さぞ人格者で信心堅固な人と思われるだろうが、実はどこにでもいる、ごく普通の陽気で明るいおばあちゃんなのだ。
でも何となく、このおばちゃんの息災延命を祈っている私である。
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