lotus column |灰汁即善 by Gentai
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 肉や野菜を茹でたり煮たりすると、水面に白い泡状の灰汁(アク)が浮いてくる。この灰汁は見た目も悪く、癖のある味や臭いを持つため、お玉や網杓子で取り除かれる。だから神経質な人と一緒にお鍋をつつくと面白い。まるで親の仇のようにずっと灰汁を取っている。

 では、灰汁は料理にとって無駄な存在なのかといえば、そうとばかりは言えない。逆にこの灰汁があるからこそ、味が引き立つ場合もある。

 開いたドジョウと笹がきにしたゴボウを、浅い鍋にそえて甘辛く煮て卵で閉じる「柳川鍋」。この料理には灰汁が必要不可欠だ。ドジョウは泥の中に生息しているため、そのままではとても泥臭くて食べられない。しかしゴボウの灰汁がそれを覆い隠し、合わさることによって、なんともいえないハーモニーを醸し出す。いつもなら不要と思われている灰汁のお陰で、美味なる料理を作り出してくれるのだ。

 人間社会でも同じではないだろうか? 普段は苦手とする「灰汁が強い人」のお陰で自分の欠点が浮き彫りになり、その欠点を乗り越えた先に人間として「味のある人」になれるのではないだろうか? その人間的な「うまみ」を排除せずに、正面から受け入れる姿勢が必要ではないだろうか?

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