lotus column |古(いにしえ)を考える by Shumei
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「稽古は強かれ、情識はなかれとなり」

 世阿弥の伝えた能楽の聖典『風姿花伝』の一文である。稽古熱心であること、そして身勝手を誡(いまし)めている。伝統の中に生きる者にとって、根本に定めるべきことでは無いだろうか。

 私のお経の稽古は、身延山の大学に進路を決めた次の朝からいきなり始まった。普通に読むと一時間のところを、四十分程の速度で必死に付いて読むことが、入学までの一年半毎朝続いた。何度も叱られ、泣きながら途中で席を立ったこともあった。荒っぽい稽古であったが、師父が私にお経を吹き込んでくれたお陰で、入学当初から先輩に付いて読めるようになっていた。

 二年生になると、新入生を集めてお経の稽古を始めた。思い返せば夕食後のゆっくりできる時間に迷惑であったと思うが、真剣に取り組んだ。正確な読み方を伝えるため何冊もお経本を机に並べてみた。しかし本によって読み方がまちまちで、どれが正しいのか分からない。きっちりと学びたいと痛感した。

 時が過ぎ、「一言一句疎(おろそ)かにしない読経」をご生涯貫かれたご前様にお会いし、稽古を受けるご縁をいただいた。私が一言一句正しく声を出さなければ、皆同じように間違ってしまう。仏さまのお言葉を正しく伝えるために、毎朝弟子と共に一声一声を大切にお勤めしている。

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