先日、仏像の盗難事件が世間を騒がせた。犯人は他のお寺からも仏像を盗み、自宅で拝んでいたという。この様な身勝手な信仰にはあきれてしまうが、仏像や仏画に、人をひきつける不思議な魅力があることも確かだ。
さて、私たちが普段より親しみを持って拝観している仏像、いったいどれくらい昔からあったのだろう?実のところ、仏像はお釈迦さまが入滅されて五百年以上経ってから出現している。当初は、お釈迦さまを像にして形に留めるなど、恐れ多いことだったからだ。
やがて、仏の吉相を足跡に彫った仏足石(仏足跡)が作られ、そこにお釈迦さまがお立ちになっている姿を表現するようになった。人々はその足跡を見て、お釈迦さまの神々しいお姿を想像し礼拝していたのだろう。
その後、シルクロードを通って西洋から神々を彫刻にする文化が入り、仏像が誕生する。私たちはすでに多くの仏像を目にしているため、お釈迦さまに対するイメージはほぼ共通しているが、もし足跡だけしか見ていなかったら、どのようなお姿を想像したんだろうなぁと思う。
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