十二月十日が世界人権デーであることは、あまり知られていないだろう。一九四八年の同日に、第三回国際連合総会で世界人権宣言が採択されたことから、この日が記念日とされた。
人権とは、すべての人が幸福な生活を営むために、生まれつき持っている固有の権利である。いっぽう差別とは、本来平等であるべきものを不平等に扱い権利を侵害することをいう。
昨今でも様々な差別に苦しみ、心を痛めている人たちがいる。他人の苦しみや痛みを自分のものととらえ、差別を受けた側の立場に立って考えることが肝要だ。
『法華経』に登場する常不軽菩薩は「われ深く汝等を敬う」と言って、ひたすら道行く人を合掌し拝む但行礼拝(たんぎょうらいはい)を実践された。
皆に仏の姿を認め、相手が仏の働きに目覚めるよう願うからこそ、決して相手を軽んじることがない。この但行礼拝の思想と態度こそ、差別思想を克服する道である。
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