最近、ガソリンや食物をはじめ、色んなものが値上がりしている。庶民の生活は苦しくなる一方だ。その原因を、ある解説者は「新興国が豊かになり、様々な物の需要が高まった結果、品不足気味になり、値段の高騰につながってしまった」というのである。
私は、この「しまった」という言葉に引っかかってしまった。
人間誰しも豊かな生活をしたい。その日暮らしではなく、ゆとりある人生を送りたいと思うものだ。そこには先進国や新興国の区別はない。ところが、この解説者の「しまった」には、「自分だけ」「自分の国だけ」といった差別意識が感じられる。
これだけ情報が氾濫(はんらん)し、地球の裏側のニュースがお茶の間でリアルタイムで見られる現代。物事を包括的にとらえる見方が必要だ。
それは取りも直さず、自他を区別する一神教的思想ではなく、すべてが関連し相互依存するものとして包みこむ、一乗的思想が根底に無ければ不可能なことだろう。
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