過日、山野菜採りに出かけた。車で三十分ほども走れば、まだまだたくさん採れる所がある。時には佃煮にして半年分も取れることもある。
香りは好し、味も好し、ついでに繊維質も豊富で言うことなし。すでに萱草(かんぞう)・野蒜(のびる)・土筆(つくし)を味わった。止むに止まれぬ事情もあってのことなのだが、贅沢といえば贅沢、春は楽しい季節である。
ところが他方で、町中の河原で野草採りをしなければならない人達がいる。若い人、働き盛りの人など様々だ。働いても十分に稼げない、働こうにも働き口が無いのがその理由である。悲惨と言うべきだろう。
政府の無策のせいではない、大企業が目先の儲けにはしるのに迎合したせいである。一体この国をどうしようというのだろう。仏の教えによらずとも、回り回って彼ら自身の、あるいは彼らの子孫に影響することは容易に予想できよう。それが見えないのだろうか、それとも見たくないのだろうか。
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