今年の夏は暑かった、本当に暑かった。おまけに雨もなかなか降らない。梅雨明けしてからは、ほとんどまとまった雨は降っていない気がする。

　我が家の猫の額ほどの庭の植木も、すっかり元気が無くなっている。朝に夕に水まきをしているのだが、まるで焼け石に水、まいたそばから土が乾き、根まで水分が届いているのかどうか。

　そんなふうに水まきをしながら、ふと思ったことがある。数十億年の地球の歴史からみれば、ひと夏の数十日の暑さなど、どうということは無い。私たち人間の一生など、地球という大きな存在からすれば、まばたきほどにもならないんじゃないか。そんな大きな存在に私たちは生かしてもらっている身じゃないか。

　そんなことも忘れ、普段私たちは小さな欲に溺れ、勝手なことばかりをしているんじゃないか。そのことに気づかせるために、時に大雨を降らしたり大地を揺らしたり、時には暑くしているのではないか……。

　私たちはもう少し謙虚に、大きな視野を持ち、そして大きな存在に感謝して生活すべきだろう。水撒きをしながら、心の渇きに潤いをもらった気がした。