今までの心を入れかえ、ある事を成しとげようと決心すること。それが「一念発起(いちねんほっき)」の意味である。
またこれは仏教用語でもあり、仏さまを信仰し修行に励もうと決意する「一念発起菩提心」が略されたものだ。菩提心とは菩薩が自らの成仏を求め、かたや一切衆生を教え導こうと発願する大心をいう。
私たちが何かを成しとげようとするには、まず自己をより充実させる必要がある。しかしその目的はすべての人々の幸せを願い、社会全体を常に平和で明るい世界にすることにつながらねばならない。
今や世界は約百五十ヵ国を数え、人口は六十五億人を越える。この人口も日々変化し、世界では一分間に百五十人、一日で二十万人、一年で八千万人が増加している。一年に六千万人が亡くなり、一億四千万人が産まれている計算だ。
ところが貧富の格差は進み、地球の温暖化などの環境問題は山積され、石油の枯渇が近づき、表土と森が失われている。つまり人の生活が、太陽と地球からの恵みを超えようとしているのだ。
国と国との利害関係ばかりを考え、戦争なんかしている場合ではない。個の幸せだけを求めるのではなく、皆が菩薩の自覚に立って総和の成仏を目指さなければ、すべての問題は解決しない。
|