安倍内閣が誕生した。戦後最年少、五十二歳の「闘う政治家」として、国家のため国民のためとあらば、批判を恐れず行動する若きリーダーとのふれこみだ。

　しかし、ある調査によると、安倍内閣になって「良かった」と答えた人は17％、「別に変らない」と答えた人は70％だったとか。希望喪失の時代といわれる今日、政治にクールで無関心な人達が増えているのかもしれない。

　確かに、「教育の再生」等をマニフェストに『美しい国へ』『自信と誇りのもてる日本へ』といったフレーズは連呼されたが、政治家だけが宣言し現状と闘うのでは意味がない。宮沢賢治が「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」と語ったように、他者を敬い慈しむ社会にならなければ、本当に美しく誇らしい国は実現しないだろう。

　そして、損得を価値基準にした教育や、責任をともなわない自由を説く教育を再生させることのないよう、私たち一人一人が、希望と安心をもたらす国づくりに関わることが大切だ。