仲間と大切なお客を招いて食事会を開くことになり、店選びのため、五年ぶりに大阪ミナミの繁華街へ足を運ぶことになった。さすがに街や人も様変わりしており、狂牛病騒ぎの影響か、やけに鳥料理店ばかりが目立つ。
しかし、もっと印象的だったことがある。興味本位もあって居酒屋風の店を数件のぞいてみたのだが、どの店の店長も二十代〜三十代前半くらいと非常に若かったことだ。
見回ったのが比較的若い客層の店だったため、近い世代の人が抜擢されていたのか。それとも現今の不況下では、ベテランを雇う人件費に乏しいということなのか。
にもかかわらず、むしろ彼らや彼女らはみな責任感にあふれ、とても礼儀正しかった。そして、自分より年下の人たちがこんなにも凛々しく、一件の店を立派に担っている姿を目にして、こちらも身の引き締まる思いがした。
同様の店が何十件と軒を並べる中では、価格競争下にあっても商品の質だけは下げられない。ならば差別化は、好印象や信頼感といった「人の質」でつけねばならない。
彼らの真摯な姿勢が、客という利益を勝ち取るためであったにせよ、身につけた振る舞いを時代から受けた恩恵として、ずっと心に保ち続けてはくれまいか。
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