この間、友人と食事に行った時のこと。友人が「あわてて出て来たものだからベルトを忘れてさ、途中で買ってきたよ」と言った。内心「ベルトを忘れるなんて」と思ったが、大体がいつもあわて者の友人である。

　そして彼は「このベルト、いくらしたと思う？」と問いかけてきた。途中で気軽に買ったくらいだから「まぁ二〜三千円くらいじゃないか？」と言うと、彼は「百円だよ」と答えたので驚いた。いわゆる「百円ショップ」で買ってきたのだという。

　確かに百円均一の店では、無いものが無いのではと思うくらい、驚くほど色々な物が売られている。しかし、安く（何せ百円で）手に入るものだから、その分捨てるのも早いと聞く。捨てようか、まだ使おうかと迷うことが少ないのかもしれない。

　さて、仏教では執着（しゅうちゃく＝とらわれる心）は善くないことで、苦しみや争いの原因にもなると説かれている。かといって、簡単に物を捨ててしまうというのはどうだろう。

　手に入れるのも早いが、飽きればすぐに手放してしまう。最近の日本人はバランスを失い、何かと両極端すぎる傾向が強いように思えてならない。どうやら「あふれる情報」というものに執着しているようだ。