陽射しが少しずつ和らぐと共に、今まで騒がしかった虫たちは姿をひそめ、そろそろ秋の夜長を彩る虫たちが登場する頃だろう。
それにしても、都会では虫を見かけることが少なくなった。アメリカでは、害虫に強い遺伝子を組み込んだ作物が栽培されているそうだが、その作物を食べた害虫はおろか、それ以外の虫まで死んでしまうことが分かった。果たしてそんな作物を、私たちが食べても安全なのかが危惧されている。
そもそも害虫や益虫(えきちゅう)といった区別は、私たち人間が決めたことで、虫たちからすれば、ただ自らの生命をまっとうしているに過ぎない。あまりに人間中心の考え方で自然を支配しようとすれば、かえって自然からしっぺ返しをくらうだろう。
また私たち人間同士にも、同じことが言える。自分のしたことは、良いも悪いも自分に降りかかるということを理解できず、「自分さえ良ければ」と考える人が増えてきた。
「人を安(やす)んずるは、すなわち自分を安んずる所以(ゆえん)なり」
人の幸せのため、社会や国の平和のために行動すれば、結局それは自分の生活の安全・安心につながる、と昔の人も言っているではないか。
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