lotus column 死ぬまで生きるなら by Shougyo
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 お葬式後の食事の席で、楽しい人に出会った。実をいうとその人は喪主の弟であり、当人からすれば母の死に直面したわけである。そんな状況で「楽しい」とはおかしな話かもしれない。

 だが彼の母は最後まで穏やかに生ききり、九十一歳の天寿をまっとうされたのだ。だからこそ寂しさの中にも、和(なご)やかさと安らぎが感じられた。

 そしてこの弟さんは、母とは関係の無い話を微笑みながら何度もくり返した。

「お上人、いつからやろなあ。テレビやラジオのニュースで『最後に円と株の動きです』って言うようになったんは。あれ聞いたら『金がそんなにいつも大事なんか』って言いたなりますねん」

 彼は長年の間、名前を聞けば誰でも知っている大手広告会社に勤務していた。その企業人生は「売らんかな」ではなく「質の良い広告作り」が目標であったらしい。今は大阪郊外へ移り住み、自称デザイン作家として、街の展覧会などへ出品を楽しんでおられる。

 「世のなか金がすべてじゃない」と口にする人は多い。しかし、そのことをいつも心に留めている人がどれだけいるだろう。かく言う私も、ニュースの最後に毎回出てくるコメントを、何の疑いもなく聞き流していたのだ。今一度、自分の死に様を想い、今の生き様を想ってみた。

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