lotus column 手段が目的を隠す時 by Takochan
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 人は群れを作りたがる。それはどのような場合においても……。仲間・団体・組織・組合・グループ等々、色々な呼び名をつけて群れを作っている。

 ここに二つのグループがあるとしよう。このグループは普段は互いに交流を持っていた。しかし、その真ん中に垣根を造ってみると、一方はもう一方を指して「西の人」といい、他方では相手を「東の人」と言うようになった。

 そこで、元通り垣根を取り除いて交流を図ってみた。すると、今度はお互いを「あれは西から来た人だ」「あれは東から来た人だ」と呼び合うようになった。

 不幸にして、二つのグループの間に諍(いさか)いが起きた。そこで争いを鎮(しず)めるために、もう一度垣根を造って西と東に別れた。西の人たちは「東の奴らは我々の敵だ」と言い、東の人たちもまた同様に「西の奴らは我々の敵だ」と言うようになった。

 この様子を見ていたどちらのグループにも属さない人が、「最初から垣根さえなければ」とつぶやいた。そばにいた一人も「西と東の区別にすぎないのに、人まで区別している」と。さらに別の一人も「グループにこだわるあまり、個人を見失ってしまったのだ」。

 三人は顔を見合わせて「みな同じ人なのに……」。

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