lotus column 分かち合う相手 by Chishin
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 阪神淡路大震災から一年あまり経った頃、神戸の仮設住宅で亡くなった一人暮らしの方は、約60人にも達していた。病気で亡くなった人、帰る道が分からなくて凍死した人、または自殺した人……。その内の七割が男性だったそうだ。

 自治会やボランティアの人たちが訪問活動を続けていたにもかかわらず、五週間も放置されていた人さえいた。買い物が遠く不便なため、買いだめして栄養がかたよったり、独居の寂しさやストレスからアルコール依存症になった人も多かったとか。

 一方、淡路島の北淡町の仮設住宅では、孤独死はその時点で一人もいなかった。なぜなら仮説住宅入居の抽選後、知人や友人ができるだけ隣り合わせになるよう役所が配慮し、入居者にも協力してもらったからだという。

 こんな話を聞くと、私たち僧侶がさせていただいている「月詣り」にも、似たような効用があるのかもしれない。家族とは共に悲しみを分かち合うことができ、他人となら悲しみをいく分か客観視して、言葉にすることで楽になることもあるだろう。

 悲しみや寂しさを胸に抱く人たちが、それでも希望をもって生きていく力を発揮する。そのためのきっかけ作りを、お坊さんができればと思う。

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