まるでクイズのような話。悪いことを悪いと知っていてやることと、悪いと知らずにやることは、はたしてどちらが悪いのか?
子供の頃「悪いと知らなかったのならともかく、悪いと知っていてやるのはいけないことだ」と叱られたものだが、善悪をわきまえない子供ならともかく、大人になるとそうはいかない。
悪いと知っているのなら、いつか反省の時が来てやめることもあるだろう。しかし知らないままだと、いつまでも直らないから質(たち)が悪い。ましてや「良かれと思ってやっている悪いこと」は最悪だ。かつて、オウム真理教の信者たちが正しいと思ってやったことは、最悪の事態を招いた。いまだに反省さえできないでいる信者が気の毒に思えてくる。
また「どんな方法であれ、金をもうけた人が出世した人」と思う風潮が蔓延(まんえん)し、地上げとバブルに日本中が狂奔(きょうほん)した結果、長年にわたってもその付けを返すことができない状況に陥った。住専問題も、血液製剤によるエイズ問題も、裏にお金が見え隠れしていたように思う。
しかるに官僚も、大臣も、医者も、誰一人として反省する者がいないのは、良かれと思って悪いことをしていることに、気づかないでいるからだろうか。
自分の欲望だけを満足させようと考えてはいないか?自分の都合だけで考えてはいないか?まずはこれらを善悪の判断基準にすべきだろう。
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