lotus column 二匹の蛙 by Taiko
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 大阪に住む蛙(かえる)が「古都、京都が見たい」といって旅に出た。一方、京都に住む蛙も「食いだおれの街、大阪が見たい」といって旅に出た。そして数週間後、二匹は天王山の山頂でバッタリ出会った。

「ここが天下分け目の戦場、名にし負う天王山の山頂、大阪の街も京都の街も眼下(がんか)に一望できると聞く。足腰を伸ばし、背伸びをして見物すれば、足の痛さも忘れられよう」

 そう言って二匹の蛙は立ち上がり、前方の景色を見渡した。

 すると大阪の蛙は「古都といいながら、私の住む大阪と何一つ変わらない。このまま旅を続けても同じこと。私は大阪に帰ることにする」。一方京都の蛙も「大阪大阪といいながら、まるで京都をそのまま移したかのような町並み。私もここで旅をやめて帰ります」と、両者とも帰路(きろ)についてしまった……。

 蛙の目は背中側についており、それが足腰を伸ばして立ち上がれば、当然後ろを見ることになってしまう。つまり大阪から来た蛙は、京都を見たつもりで実は大阪を見ており、京都から来た蛙も、同じく振り返っているに過ぎなかったというお話。

 はたして、私たちは大丈夫だろうか?この二匹の蛙のように、目の付け所を一つ間違えば、さらに二重・三重と過ちを繰り返す可能性もあるだろう。誤った価値観や思い込みによって、自分を客観視できない人が増えている。最初に目の付け所を間違わないよう、法華経の鏡に自らを照らす必要がある。

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