lotus column 寒苦鳥 by Taijun
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 インドの雪山に寒苦鳥(かんくちょう)という鳥が住んでいた。この鳥は夜になると「ああ寒い、ああ寒い」と鳴き、毎晩「夜が明けたらこの寒さに耐えられるよう巣を作ろう」と思うのだが、いつも昼になるとそのことを忘れてしまう。そして、とうとう巣を作ることなく死んでしまうのだ。

 たしかに、自分が苦しい時は懸命に理想を追い求め、また学ぼうと努力もするが、一時的に楽な状態になると、最初の思いはすっかり影をひそめることがある。

 ある家の夫が重い病気になった。妻は夫を必死で看病し、夫はそんな妻に心から感謝していた。しかし病気が治り、仕事も順調になって経済的に恵まれてくると、夫は浮気をするようになり、たちまち夫婦仲が悪くなったという実話がある。本当に私たち凡夫は、寒苦鳥そのものだ。

 法華経の序品にこうある。

「合掌して一心に待ちたてまつれ。仏まさに法雨をふらして道を求むる者に充足したもうべし」

 私たちは数々の縁に支えられ、微妙なバランスの上に生かされて生きている。そのことを忘れては一時の充足しか得られず、かえって果ては深い苦しみを得ることになる。合掌して一心に教えを請(こ)い求める姿勢こそ、法雨に心洗われ智恵を充分に吸収することのできる姿なのだ。

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