人間とは逆境の中で成長し、順風の中では成長しないものだ。だから「心に悲しみを持った時」にどう生きるかによって、その人の値打ちが決まってくる。
心の悲しみを自分の優しさに変え、心の慈しみを自分の強さに変え、より深い人生へと転換できるか。それとも心の悲しみに負け、自分だけが不幸なのだと思い込み、自暴自棄(じぼうじき)になってしまうか。これは大きな違いである。自分の悲しみをどう消化するかによって、その人の人生は大きく変わってしまうのだ。
ここに「悲しみの泉」という詩があるので、紹介しよう。
悲しくても
泣けないときがある
腹が立っても
怒れないときがある
つらくても
グチのこぼせない時がある
そんな思いが一杯たまり
深い悲しみの泉となる
その泉の中から
やさしさが生まれ
強さが生まれ
私の人生が生まれる。
法華経『如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)』の「常に悲感(ひかん)を懐(いだ)いて、心ついに醒悟(しょうご=悟りに目覚める)し」という一文は、まことに深く、有り難い。
|