辛い人が多いのは、感謝をしないからだ。
苦しいことが多いのは、自分に甘えがあるからだ。
悲しいことが多いのは、自分のことしか分からないからだ。
心配することが多いのは、今をけんめいに生きていないからだ。
行きづまりが多いのは、自分が裸になれないからだ。
これは明治37年(1904)に、西田天香という方が無所有奉仕の共同生活を目指して京都に開設した「一燈園(いっとうえん)」出身の、石川洋(よう)氏による自戒(じかい)の言葉である。石川氏にとっては自らへの戒(いまし)めであっても、私たちにとっては「呼びかけ」であり「お叱り」にも聞こえるだろう。私など、一句一句が心の奥底にドスン、ドスンと突き刺さるような気さえする。
他の過ちを見るなかれ。他の作(な)さざるを責むるなかれ。おのが、何をいかになせしかを、自らに問うべし。(法句経=ほっくきょう)
今から約三千年前、お釈迦さまは今日の私たちの心のあり様まで承知しておられ、このような戒めの言葉を残して下さった。そして、このお言葉の結論「自らに問うべし」の問い方の具体例が、先の石川氏による自戒ではないかと拝する。
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