lotus column 何も持たずに by Shougyo
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 昭和63年(1988)3月13日の朝、出かけに車のラジオのスイッチを入れると、開業したばかりの青函トンネルを通る、一番列車からの中継が聞こえてきた。しばらくすると、今度は瀬戸大橋からの中継へと変わり、翌月に開業するこの橋に関する様々な情報も流れてきた。結局その日のNHKラジオでは、朝の7時から昼の12時まで、五時間にわたる特別番組を放送していたのだ。

 日本はこの日からしばらく、青函トンネルと瀬戸大橋の開業フィーバーに沸(わ)きかえることになった。しかしその数日前には、トランプ賭博(とばく)による借金が原因で中学生が少年を殺したり、幼児を誘拐した少年がその子の服に火をつけて大やけどをさせるといった、目を覆(おお)うばかりの事件が起きていたことを、私は今でも覚えている。

 日本全国が一つのレールで結ばれるという物質的繁栄の陰で、少年の精神的退廃によって引き起こされる数々の事件。あれから10年たって、少年による犯罪件数がどのように変化したかは周知の通りだ。私たちに今必要なものは、はたして何なのだろう?

「合掌し敬心(きょうしん)して具足(ぐそく)の道を開きたてまつらんと欲す」
 智恵第一とうたわれたお釈迦さまの弟子、舎利弗(しゃりほつ)尊者のお言葉だ。

 私たちに必要なことは、物質文明から受けている様々な恩恵を知り、それらに対して合掌することではないか。人は合掌している間、その手に凶器を持つことはできない。

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