lotus column |忘れてしまいたい! by Zuiho
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 この世で罪を犯して懺悔(ざんげ)も無い者は、死んでから地獄に堕ちるという。全部で八つある地獄世界の中でも、特に「無間地獄(むけんじごく)」は苦しみが絶え間なく続き、休む間も無い所だそうだ。いつまでも痛みや苦しみが忘れられないこうした状態こそ、まさに地獄以外の何ものでもない。

 ただし、生きていれば「死んでしまいたい」と思うほどの苦しみも、時間や環境によって薄らいだり、忘れてしまえることがある。例えば愛する人との悲しい別離も、忘れることができるからこそ生きていける。自分の物忘れを嘆く人もいるが、時には「忘れてしまえる」ことほどありがたいことはない。

 その昔、お釈迦さまの弟子にシュリハンドクという男がいた。彼はお釈迦さまの教えどころか、自分の名前さえ覚えることができず、いつも大きな名札を背負って歩いていたという。しかしお釈迦さまの導きにより、漢字にするとたった14文字の教えを毎日懸命に口にすることで、学業に秀でた兄よりも先に悟りを開いた。

「守口接意身莫犯 如是行者得度世」

 言葉を守り、心をつつしみ、身をないがしろにしてはならない。これ守って修行する者は、この世において悟りを開くことができる、という意味だ。

 貸したものは覚えているが、借りたものは忘れてしまう。親の恩は忘れても、子には恩を押しつける。そんな愚かな生活を繰り返しているくらいなら、このさい貸した人も借りた人もキレイさっぱり忘れてしまった方が、世の中ずっと明るくなるのではと思うことがある。

 忘れるより、少しでもたくさん覚えている方がいいという人もいるだろう。しかし、この先時代や世代が変わっても、ずっと覚えていなければならない大切なことって、そんなにあるのだろうか?

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