そう言えば一時流行していた「紅茶キノコ」なるものは、いったいどこへ行ってしまったのだろうか？あれが流行ったのは、何年前のことだったろう。まったくあれ以来だけでも、何種類の健康法・健康薬・健康食品等が、うたかたの夢のごとくに現れては消えていったことか。一つ一つ想い出して、数える気にもならない。

　この現象、長く続いているとは言っても、高度経済成長以後のもの。古来から中国人は「衣食足りて礼節を知った」ものだそうだが、日本人はどうやら「衣食足りて健康を知った」らしい。そして健康を「知った」と思いこんでいる人、知っても結局は実践できない人も増えていった。

　例えば以前、ウナギが大好物で、刺身はトロしか、しかもスーパーで買ったものは食べないほどの食通（？）の犬、なんてのもテレビで紹介されていた。この犬を飼っている人の食生活とは、一体どんなものなのだろう。私たちの頭にも、健康といえば肉体、栄養といえば食べ物という図式がこびりついてはいないだろうか。

　医学の進歩によって、心の制御が体の制御に深く関わることが、ようやくクローズアップされてきた。はたして、あなたの心は健康だろうか？あなたの心には、栄養が足りているだろうか？