lotus column |王舎城の悲劇 by Chijo
what's new  ビンバサラ王とイダイケ夫人には、年老いても子供が授かりませんでした。そこで占い師に尋ねたところ、いま山中で修行している仙人の命が尽きれば、二人の子として生まれ変わるというのです。しかし王は待ちきれずに、その仙人を殺してしまいました。

 間もなく、夫人は子供を身ごもりました。そしてもう一度占い師に見せたところ、こう言われたのです。

「この子は生まれながらに父王を憎んでおります。この世に産まれれば、いずれ必ず父王を殺害するでしょう」

 やがて男の子が産まれましたが、二人の恐怖はつのる一方でした。そしてとうとう、高い建物の上からその子を突き落としてしまったのです。しかし、不思議と子供は指を一本折っただけですみました……。

 時は過ぎ、アジャセと名付けられたその子はすくすくと成長し、太子となりました。しかし彼らの王舎城(おうしゃじょう)に出入りしていたお釈迦さまの弟子の一人・ダイバダッタにそそのかされ、次第に父王を憎み、早く自分が王位につきたいと思うようになったのです。そしてアジャセは、父王にぬれ衣を着せてろう屋に閉じ込め、代わりに自らが王位を継いでしまいました。

 父王は食べ物も与えられず、やがては餓死する運命でした。しかし、一向に体が弱っていく様子もないことを不審に思ったアジャセが、たびたび面会に訪れる母を取り調べてみると、体に蜜等を塗って父王に与えていたことが分かったのです。激怒した彼はついに父を殺害し、母までもろう屋に閉じ込めてしまいました。

 念願かなって王となったアジャセでしたが、次第に自分の罪を後悔し、その重圧から体中に悪臭を放つデキモノができて、地獄の苦しみを味わうことになりました。釈放された母もあらゆる薬草を用いて彼を看病しましたが、かえって病状は悪化するばかり……。

「あなたの病を治すことができるのは、この世でただお一人、お釈迦さましかおられないでしょう」

 主治医のギバからそう聞かされたアジャセでしたが、自分の犯した罪があまりに深いため、恐れ多くてお釈迦さまに会いに行くことすらできません。それを知ったお釈迦さまは、まばゆいばかりの慈悲の光を放ち、瞬時に彼の病をいやしたのです。

 アジャセは意を決し、母を始め多くの従者を率いてお釈迦さまのもとへ向かいました。そして大いに感激し、立派な王となって後々まで仏法を護ったのです。

what's newdiscourseseasontalesideadownloadlinkmyoabout "myo"site mapNOEC

HOME

Since 1999, Nichiren-shu Osaka Enlightenment Center. All teachings are opening up.